鉄緑会生の「第二の塾」の選び方

難関の私立、中高一貫校に通いながら、鉄緑会にも通う。

こうした生徒は、東京大学や国公立大学医学部などを目指す層では珍しくないと言われている。

一方で、中学2年、中学3年あたりになると、保護者から「もう一つ塾をつけたほうがいいのではないか」という相談が出てくることもある。

このとき注意したいのは、第二の塾に何を求めるかである。

鉄緑会は、学校の授業についていくための補習塾ではない。

難関大学受験を見据え、中学生の段階から英語・数学を体系的に学び、学校より先の内容や発展的な問題にも取り組んでいく塾として知られている。

中学生でも英語・数学をそれぞれ週3時間程度学び、それとは別に宿題、復習、小テスト、校内模試などがある。

さらに、鉄緑会に通う生徒の多くは、学校そのものの進度も速い。

難関中高一貫校では、中学生のうちから高校内容に入る学校も多く、定期試験の難度も高い。

つまり生徒は、学校の授業、宿題、定期試験、それに加えて、鉄緑会の授業、宿題、復習、テストと、複数の学習システムを同時にこなさねばならなくなる。

ここで起こりやすい問題がある。

それは、必ずしも「勉強が分からない」ということではない。

むしろ小学校低学年から塾に通い、難関校に進学し、鉄緑会にも通っている以上、一定以上の学力を持つ生徒が多い。

問題になるのは、学習内容の整理と優先順位である。

たとえば数学だけでも、学校の教科書、問題集、プリント、鉄緑会のテキスト、問題集、宿題がある。

英語にも、学校の単語、文法、長文、鉄緑会の単語、文法、英作文、読解がある。

本人の頭の中では、これらがすべて「やらなければならない勉強」として並んでしまう。

すると、

「何から手をつければいいのか分からない」

「学校の試験前なのに鉄緑会の宿題が終わらない」

「毎日勉強しているのに成績につながらない」

といった状態が起こる。

これは学力の問題というより、学習管理の問題であることが多い。

教育現場では、こうした生徒に新しい教材を与えるよりも、現在使っている教材や課題を整理したほうが効果的なケースがあると言われている。

今週必ずやるもの。

定期試験までに終わらせるもの。

理解が不十分なので復習するもの。

今は後回しにしてよいもの。

こうして優先順位をつけるだけで、生徒の勉強が急に回り始めることがある。

もともとの学力が高い生徒ほど、その傾向は見られやすい。

能力が足りなかったのではなく、持っている能力をうまく使えていなかったということである。

この点から考えると、鉄緑会に通う生徒が第二の塾を選ぶ場合、鉄緑会と同じ役割を持つ塾を選ぶ必要は必ずしもない。

むしろ役割を分けたほうが合理的である。

大手塾は、長期的なカリキュラムや教材、競争環境を作ることに強い。

一方、小規模な塾や個別指導には、一人ひとりの学校予定、宿題量、理解度、生活リズムまで見ながら調整できる強みがある。

つまり、大筋は大手塾、個別調整は小規模塾。

このような棲み分けである。

第二の塾に必要なのは、必ずしも「さらに高度な数学を教えること」ではない。

学校と鉄緑会の課題を確認する。

今週やることを決めて自習させる。

分からない部分を質問する。

終わったものを確認する。

次の週にまた組み直す。

こうした学習管理のほうが重要になることもある。

その意味では、大学生チューターなどが日常的に学習を見守る仕組みも有効だろう。

難しい問題や専門的な内容については、必要に応じてプロ講師に質問する。

しかし普段の学習管理まで、すべて高額なベテラン講師が担当する必要はない。

中学生の場合、むしろ年齢の近い大学生が伴走しながら、課題や進捗を確認するほうが機能するケースもある。

第二の塾を探している家庭は、一度こんな質問を子どもにしてみるとよい。

「今週、学校と鉄緑会で何を優先して勉強するの?」

すぐに答えられるなら、大きな問題はないかもしれない。

しかし、「全部やらないといけない」とか、「よく分からない」という答えが返ってくるのであれば、必要なのは新しい授業ではなく、学習の交通整理かもしれない。

難関中高一貫校と鉄緑会。

どちらも質の高い教育環境である。

だからこそ、さらに教材や授業を増やすのではなく、すでにあるものをどう使いこなすかを考える必要がある。

それが、鉄緑会生にとっての「第二の塾」を選ぶ際の、一つの重要な視点と言えるだろう。

注意すべきは、「うちは親身で生徒に寄り添います」と看板を掲げているわりに、親身に寄り添うのは最初の数週間だけという塾も少なくないことだ。

生徒が増えると、塾側も一人ひとりの生徒に手が回らなくなる。
いつの間にか、数ヶ月放置されてクレームを入れても梨の礫。

そういう塾が意外と多いので、実際にそこに通ったことがある人、その親に話を聞くのが一番ではあるが、なかなかそういうわけにもいかないだろう。

であれば、塾側に「この親は面倒くさそうだ」「手を抜くとクレームが来そうだ」と初期の段階でイメージを植え付けるのも一つの方法かもしれない。
あまり褒められた方法ではないかもしれないが。

もちろん、そのような塾に入らないことが最善ではあるのだが。

兎にも角にも、担任、もしくは担当と密にコミュニケーションが取れそうか否か。これもチェックすべき大事なポイントだろう。