行ってはいけない予備校の見分け方

どう見分けるのか

行ってはいけない予備校、それは実績のない予備校です。

もちろん、そんなことは分かっているけれど、「では、一体どうやって見分けるの?」という問題が浮上します。

多くの予備校はホームページやパンフレットで、教務サービスの内容をかなり「盛って」います。
その「盛り」の最たるものが合格実績でしょうね。
塾、予備校が発表する合格実績には、正直「ごまかし」が多いです。
もちろん全てとはいいません。
しかし、「ごまかし」のないところのほうが少ないのではないでしょうか。

経歴だけに振り回されるな

仮に、実際に東大理科III類(医学部)出身、あるいは在籍の講師がいて、それを「売り」にしていたとしても、その東大医学部出身(在籍)の講師は、必ずしも、その予備校出身者とは限りません。

また、いくら東大医学部合格者だとしても、「自分で自分の勉強をする」ことには優秀でも、必ずしも生徒に勉強を教えることに長けているとは限りません。むしろ、現役で東大理科III類に入ってしまうような講師は、勉強が出来ない生徒の気持ちが分からない人かもしれません。

だから、予備校や塾の良し悪しを判断する際に、何を参照するのかといえば予備校の評判をまとめた「評判サイト」になりがちです。

「評判サイト」に気をつけろ

「評判サイト」には、予備校利用者からの生のクチコミが掲載されていることもあり、客観的かつ公正な内容であると思われがちです。

しかし、よく考えてみてください。

予備校や塾に関しての評判をまとめたサイトは無数にありますが、そのどれもが信頼に足る内容なのかというと、必ずしもそういうわけではありません。

たとえば、有名な評判サイトといえば、「塾ナビ」を思い浮かべる方も多いと思います。また、医専予備校(医学部専門予備校)といえば、「医学部予備校ガイド」や「医学部予備校NAVI」をご存知の方も少なくないと思います。

もちろん、大手企業が運営しているサイトですので、掲載されている内容に嘘や偽りがあるとまでは申しません。

しかし、よくよく考えてみてください。
これらサイトは「大手企業」が運営しているわけです。
慈善事業が好きな人たちが無収入で、全国の受験生たちを手助けしようと運営しているわけではありません。

ということは、収入源はどこから?

このことを考える必要があります。

運営しているのは利益追求の一般企業である

それも個人で運営しているサイトではありませんので、サーバーやサイトの維持&更新や大勢の社員に支払う人件費や会社の維持費にも並々ならぬコストがかかるはずです。

そう、これら企業が運営しているサイトの多くは、「紹介手数料」でビジネスが成り立っているのです。
このことを忘れてはいけません。

塾や予備校の情報を掲載し、掲載した記事から「資料請求」や「問い合わせ」が発生した場合は、その旨を塾や予備校に「紹介が発生した旨」と、問い合わせや資料請求を希望した人の、名前、住所、電話番号、メールアドレス、通っている学校、志望大学などの情報を連絡し(多くの場合はメールで連絡がいくシステムになっています)、紹介料を請求する仕組みになっています。

会社やサービスによって「紹介料」の値段は変わりますが、おおよそ3000円から5000円が相場です。
医学部のように、受験生の家庭から多くの学費が取れるサイトの場合は、それ以上の「紹介料」が発生します。

そして、これも運営サイトによってビジネスモデルは異なりますが、「紹介料」を支払うだけで終了の場合もあれば、問い合わせをしてきた生徒(およびその父兄)が、入会(入塾)した場合、「成約料」を支払わなければいけないケースもあります。

日本全国にある塾や予備校の数は膨大です。これらのすべてではありませんが、多くの予備校や塾の情報を掲載すれば、ひと月にこのサイトから発生する「紹介」の数は膨大な数に上るでしょう。

評判サイトのビジネスモデル

たとえば、都内だけでも数百件の塾・予備校が掲載されています。
1日に問い合わせが100件発生するだけで、ひと月に3000件。紹介料が3千円だとすると、900万円の紹介料が、何もしなくても入ってきます。

これはあくまで少ない見積もりです。
都内だけではなく全国規模であれば、その数倍から数十倍の問い合わせが全国各地からくることでしょう。

さらに、サイトによっては、あらかじめ3つか4つ以上の予備校に同時に資料請求が発生するように設定されているので、一度「資料請求ボタン」を押すだけで、複数の予備校の資料請求が発生する情報サイトも珍しくありません。

つまり、塾や予備校の情報を得ようと資料請求をしようと軽い気持ちでボタンを押した家庭には、翌日からたくさんのパンフレットが郵送されてきますし、数日後には複数の予備校から「パンフレットを送りましたが、御覧いただけましたか?」という営業電話が頻繁にかかってくることになるのです。

また、サイト運営側もこの仕組みのお陰で、仮に1件の問い合わせの料金が3000円だとすると、その3倍から4倍の金額を各塾、予備校に請求することが出来るので、商売としてはかなりおいしいです。

さらに、共通テスト終了した1月中旬から3月の下旬までは、どの予備校も新規の生徒獲得をする「かき入れ時」なので、出来るだけ多くの受験生や父兄に自らの予備校を知ってもらいたいわけですが、その時のための「優先掲載サービス」というものも設けています。

掲載順位の優先サービス

どういうことかというと、たとえば、都内の医学部専門予備校で検索した場合、出来るだけ上位表示させたほうが、検索した人の目にとまりやすくなりますよね?
3ページ目に検索される予備校や、13番目に表示される予備校は、なかなか見てもらえないわけです。

ですので、「検索結果の上位に表示できるオプションサービスがあります」と、各塾や予備校に営業をかけるわけです。

すると、多くの塾や予備校は、喜んでお金を払います。
1人でも多くの生徒を呼び込みたいですから、自分の塾・予備校の存在を目立たせたいわけですね。

中には、某医学部専門予備校情報サイトにもなると、上位表示サービス料が年間50万円など、数十万円もかかるところがあります。

それなのに、既に1位から10位までの予備校は埋まっていて、新規参入の予備校が、お金で掲載順位の上位を買おうとしても、なかなか空き枠が出ないというのが現状です。

ほかにも、サイト内にバナーを貼ることで年間数十万円を取るところもあります。
このバナー掲載料も場所によって金額が別々に設定されていて、ページ上部だと100万、ページ下部だと30万というように細かく料金設定がなされています。

だからといって、評判サイトを運営している会社を攻めてるのは筋違いです。彼らとてサービスを提供することによって糧を得ている民間企業なのです。
ただ、私たちが気を付けなければならないのは、そのようなサービスに便乗して、本来の実績以上に大袈裟に実績を喧伝している「嘘の広報」をしている医学部専門予備校も、これら評判サイトのサービスの中に混ざっているということです。

つまり、情報は多ければ多いにこしたことはありませんが、嘘と真実を見極める真贋の力、リテラシー能力を持つことがとても大切なのです。

営業される教育機関

このようなサービス枠を設けて、評判サイトの営業マンは、各塾や予備校に、「掲載されやすくしませんか? バナーを貼りませんか?」と営業をかけるわけですね。

すると、このようなインターネットのサービスに慣れていない塾や予備校の責任者は、最初は「高い!」と突っぱねるかもしれませんが、「生徒一人の一年ぶんの学費を投資するだけで、その何倍もの生徒が獲得できれば安いものだと思いますが?」と畳みかけるわけです。

もちろん、このサービスを利用することで、飛躍的に入学希望者が増えたという塾・予備校もあるでしょう。
しかし、それは「インターネットの力」であり、もっと言えば「お金の力」なわけですから、決して、その塾の実力や実績で生徒が集まったというわけではありませんよね。

もし、インターネット上の派手なバナー広告や、検索して最初にあらわれた検索結果をクリックして出てきた塾や予備校に通おうとされている方は、いまいちど、「自分がその予備校のサイトにたどり着いた理由は何?」と考えてみたほうが良いと思います。
言い方悪いですが、「塾の指導力」や「予備校の指導力」が理由ではなく、塾や予備校がインターネットに投資した「お金の力」であることのほうが多いのではないかと思います。

合格者に尋ねるのが一番

いかがですか?

このようなことからもお分かりのとおり、情報サイトの上位に表示された予備校が必ずしも「良い予備校」とは限らないのです。

先述のとおり、表示される順位はお金で買えるものなのですから。

ですので、むやみやたらと「デザインが綺麗だから」とか「本格的な指導をしていそうだから」というような見た目やイメージに惑わされてはいけません。

では、どうすれば、良い予備校と悪い予備校を判断することが出来るのでしょうか?

ひとつは、実績です。
これは、予備校側からの手前みその「医学部合格30名中23名!」という情報ではなく、実際に身の回りに合格した人がいたら、どの予備校に通っていたのかを尋ねることが一番なのです。

進学校に通う生徒であれば、国公立大学や医学部に合格した先輩に通っていた予備校や勉強法を尋ねるのが一番です。

近所にそのような合格者がいれば、菓子折りを持ってでも聞きにいくべきでしょう。

しかし、残念ながら、近隣にそのような合格実績のある先輩がいない場合もあります。

その場合は、「塾ナビ」や「医学部ガイド」のような情報サイトのクチコミサイトを読むのではなく、実際に気になる塾や予備校に電話をかけてみてください。

電話をかけてみよう

電話をかける口実は、「資料を請求したいのですが」や「見学をしたいのですが」で十分でしょう。

その時に電話で応対した人の話し方にじっと耳を澄ませてください。

面白いことに、最初に電話に出る窓口の人の対応の質と、その塾・予備校のレベルは比例していることが多いです。

ダメな塾・予備校の電話対応は、酷いところは本当に腹立たしいほどに不愛想です。
「はぁ~」という面倒くさそうな溜め息から始まる対応をそれたこともあります。

塾名は記しませんが、私も以前は酷い対応をされたところが何件かありました。そして、その中の1つは倒産し、2つは大手に買収されたようです。

だいたいきめ細やかなサポートが必要なはずの教務サービスが生業のはずの塾や予備校が、お客様に対してきめ細やかな対応が出来ないようでは、もうその塾・予備校は終わっています。

もちろん、教務と電話窓口、あるいは受付担当では、仕事の担当、役割分担は違うのでしょうし、電話対応する担当は、アルバイトだったりパートだったり派遣社員だったりするのかもしれませんが、そういう、いわば「末端」でありながらも「重要」な仕事を担っている担当者たちに、きめ細やかな指導が出来ないこと自体、その教育機関に指導力を期待できないということの証でしょう。

つまり、スタッフ教育もろくに出来ない塾や予備校が、生徒への教育が出来るはずがないからです。

見学にいってみよう

さらに、余裕があれば、実際に見学してみることをお勧めします。自分に合った通う場所を選ぶためには、実際に見学してみて痒いところまでを体感してみることが大事です。

パンフレットやホームページで「盛られた」イメージとは異なる、リアルな「実態」を五感を研ぎ澄ませて見極めていただくほうが良いと思います。

以下に、見学をする際のポイントをいくつか紹介します。

講師陣の質を確認する

医学部専門予備校では、講師陣のレベルが合格に大きく関わってきます。見学の際には、講師陣の経験や実績、教え方などを確認することが重要です。

カリキュラムの内容をチェックする

医学部入試に合わせたカリキュラムを提供することが多い医学部専門予備校では、カリキュラムの内容に偏りが生じる場合があります。見学の際には、科目別のカリキュラムや教材の内容、テストの種類や出題範囲などをチェックして、自分に合った予備校かどうかを判断することが重要です。

講義スタイルを確認する

講師陣の質やカリキュラムの内容だけでなく、講義スタイルも重要なポイントです。見学の際には、講義の雰囲気や生徒との関係性、授業の進め方やペースなどを確認して、自分に合った講義スタイルかどうかを判断することが重要です。

施設や設備の充実度を確認する

長時間の学習になるため、予備校の施設や設備が快適かどうかも重要なポイントです。見学の際には、教室やトイレ、休憩スペース、自習室、飲料水や食堂などを確認して、自分にとって過ごしやすい環境かどうかを判断することが重要です。

まとめ

上記ポイントを参考に、実際に見学して自分に合った医学部専門予備校を選ぶようにしてください。。

いずれにしても、医学部に合格するために予備校に支払うお金は莫大なものとなります。ヘンな予備校、高級ホテルや高級老人ホームのように施設やケアだけはご立派だけれども、ちっとも学力があがらない予備校もこの日本にはあきれるほどたくさんあるのが実情です。

立派なパンフレット、豪華な社屋、口がうまい説明員のセールストークに誤魔化されることなく、じっくりと検討する必要があります。言い方悪いですがボッタクリ予備校につかまってしまい大金を払って合格しなければ、後の祭りです。

焦らず慌てず、良い予備校を探すようにしましょう。