ノドグロってどんな魚?
「のどぐろ」は、その美しい見た目と濃厚な味わいで、高級魚として知られる魚です。
正式名称は「アカムツ」と言いますが、口を開けると喉が黒いことから「のどぐろ」と呼ばれるようになりました。
ちなみにノドグロには、地域によって様々な呼び名があります。
先述した通り、口の中が黒いことからノドグロと呼ばれるのが一般的ですが、日本海側を中心に呼ばれることが多い呼び名です。
日本海側といえども島根県の一部地域ではメッキンと呼ばれてます。
また、高知県の一部地域ではキンギョと呼ばれています。
ノドグロの特徴
ノドグロの鮮やかな赤色をした魚体は、見ているだけで食欲をそそります。
味の方は、白身魚でありながら、とろけるような脂がたっぷりと乗っているのが特徴です。この脂がノドグロの旨みを凝縮し、口の中でとろけるような食感を生み出します。
さらに、脂の濃厚さだけでなく、上品な甘みも特徴の一つです。
この甘みと脂のバランスが、ノドグロの美味しさを際立たせています。
ノドグロは、その高い栄養価も注目されています。良質なタンパク質や脂質、ビタミン類などが豊富に含まれており、美容や健康にも良いと言われています。
ノドグロの美味しい食べ方
ノドグロの旬は冬です。
脂が乗った冬に、その上品な味わいを生かすために、シンプルに調理したノドグロを味わいたいですね。
焼き物の場合は、皮面をパリッと焼き上げ、中はふっくらと仕上げると、脂の旨みが口いっぱいに広がります。シンプルな塩焼きが一番ノドグロ本来の味を楽しめます。
塩焼きも良いのですが、時には煮物も良いですね。骨まで柔らかく煮込んだ煮付けも絶品です。
また、鮮度が良い場合は、刺身でいただくのもおすすめです。
ノドグロが高価な理由
ノドグロは高級魚と呼ばれているだけのことはあり、お値段高めの魚です。
高価な理由はいくつかあります。
大きな理由としては、漁獲量が限られているということですね。深海に生息するため、漁獲が難しく、数が限られています。そのため、一般的に他の魚に比べて高価な価格で取引されています。
それに加えて、非常にデリケートな魚のため、鮮度を保つことが難しく、高値がつく傾向にあります。
あとは需要と供給のバランスですね。なんといっても、その美味しさから多くの人の舌を満足させ、需要が高まっていることが大きな理由です。
魚料理店での相場
魚料理店でのノドグロの価格は、その日の仕入れ状況や提供方法、お店のグレードなどによって大きく変動します。一般的に、以下のような価格帯が目安です。
一尾あたりの価格⇒数千円~数万円
一皿あたりの価格⇒数千円~数万円
価格に影響する要素
サイズが大きな個体ほど高価になります。
特定の産地のもの、例えば、脂の乗りが良いとされる冬の島根県産などは、高値がつくことがあります。
ノドグロは、確かに高価な魚ではありますが、その味はまさに絶品。
特別な日の食事や、自分へのご褒美に、一度は味わってみる価値があるでしょう。
ノドグロの生息域
先述した通り、ノドグロは日本近海の様々な海域に広く分布していますが、もう少し細かく見ていきましょう。
まずはメインの日本海ですが、島根県、新潟県、石川県などの日本海側が有名産地です。これらの地域では、水深100m~200mの砂地や泥底に生息しています。
では、反対側の太平洋はどうでしょう?
北海道から九州にかけての太平洋側にも分布していますが、日本海側ほど多くは獲れません。
もちろん、日本海や太平洋だけでなく、東シナ海にも生息しています。
とはいえ、やはりメインは日本海。
なぜ日本海に多く生息しているのかというと、その理由は、以下の点が考えられます。
まずは水温。
ノドグロは、比較的低水温を好む魚です。
日本海の深海は、一年を通して水温が安定しており、ノドグロの生息に適した環境となっています。
餌の関係もあります。
ノドグロは、海底に生息する小魚や甲殻類などを捕食します。これらの餌となる生物が豊富に生息している海域が、ノドグロの生息地となっています。
そして、海流。
海流は、プランクトンや小魚を運搬し、ノドグロの餌となる生物の分布に影響を与えます。日本海を流れる対馬海流や津軽暖流は、ノドグロの餌となる生物を運搬し、ノドグロの生息を支えています。
各産地の特徴も記しておきます。
島根県は、日本一のノドグロの水揚げ量を誇り、その品質の高さでも知られています。
新潟県は、日本海側では島根県に次ぐ水揚げ量を誇り、特に佐渡島産のノドグロは脂が乗って美味しいと評判です。
石川県は能登半島周辺では、良質なノドグロが獲れます。
では、青森や秋田県の方はどうでしょう?
結論から言うと、青森県や秋田県でノドグロを日常的に食べる習慣は、島根県や新潟県などに比べると、一般的には少ないです。
もちろん、青森県や秋田県でも水揚げされることはありますが、量は少なく、地元で流通する量は限られています。
そして、青森県や秋田県は冷涼な気候で、冬は特に寒さが厳しいため、より脂が乗った魚を好む傾向があります。この点で、ノドグロよりも脂の多いサバやイワシなどが好まれる傾向にあります。
もっとも近年は少しずつノドグロの魅力が広がってきているようです。
ノドグロに含まれる栄養素
栄養素についても見ていきましょう。
ノドグロには、以下のような栄養素が豊富に含まれています。
まずは、良質な脂質があげられます。DHAやEPAといった不飽和脂肪酸が豊富で、血液をサラサラにする効果や、脳の働きを活発にする効果が期待できます。
また、高品質なタンパク質源であり、筋肉の修復や成長をサポートします。
ビタミン類も豊富。ビタミンA、D、Eなどが含まれており、視力維持、骨の健康、抗酸化作用など、様々な健康効果が期待できます。
ミネラルもいっぱいです。カルシウム、鉄分、マグネシウムなどが含まれており、骨の健康、貧血予防、筋肉の働きをサポートします。
これら栄養豊富なノドグロを食べることで、生活習慣病予防、脳の健康維持、美容効果、疲労回復などの効果が期待できるでしょう。
ノドグロに合うお酒
ノドグロの濃厚な旨みを最大限に引き出すためには、以下のようなお酒がおすすめです。
まずは、日本酒。
純米大吟醸や大吟醸など、上品な味わいの日本酒との相性が抜群です。特に、酸味が控えめで旨味が強い日本酒との組み合わせがおすすめです。
麦焼酎や芋焼酎などの風味豊かな焼酎もおすすめです。特に、ロックや水割りで飲むと、ノドグロの脂と焼酎の香りが調和し、豊かな味わいが楽しめます。
それと、辛口の白ワインも、ノドグロの脂とよく合います。特に、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなどの品種がおすすめです。
以上、ノドグロの魅力について様々な側面から書いてみました。
日常的に食べる魚ではないかもしれませんが、時には魚料理で贅沢をしてみたいと思う日は、ぜひとも(特に冬には)ノドグロをチョイスしてみてください!