光る君 清少納言
大河ドラマ「光る君」で描かれる紫式部と清少納言は、仲良し、というか、よく主人公まひろ(=後の紫式部)の家に遊びに行き、宮中の噂話をしたりしています。
とても仲が良さそうです。
歴史の授業などではライバル関係と教えられたりもしますが、では、この二人は実際はどのような関係だったのでしょう?
光る君 創作
このドラマにおいての2人の親友関係は、史実とは異なる創作です。
確かに二人は同時代に活躍した女流作家であり、互いの作品にも影響を与えた可能性はありますが、直接的な交流があったことを示す確かな史料は残っていません。
なぜなら、この2人の宮仕の時期は重なっていないからです。
ということで、清少納言、紫式部のそれぞれの宮仕えの時期と評価をそれぞれ書いていきます。
清少納言 ききょう
ドラマでは「ききょう」と呼ばれる清少納言ですが、彼女は993年頃から1001年頃まで、藤原定子に仕えました。
随筆「枕草子」で知られ、鋭い感性と豊かな表現力で平安時代の宮廷生活を鮮やかに描き出しました。
紫式部 まひろ
ドラマでは「まひろ」と呼ばれている紫式部ですが、彼女は1006年頃から1012年頃まで、藤原彰子に仕えました。
紫式部は、長編小説「源氏物語」の作者として名高く、繊細な心理描写と巧みなストーリー展開で後世の人々を魅了し続けています。
紫式部日記 評価
紫式部は日記「紫式部日記」の中で、清少納言について「才気煥発で知識も豊富だが、それをひけらかすようなところがある」と評しています。
一方、清少納言の「枕草子」には、紫式部に関する記述は見当たりません。
二人の関係性
上記の通り、二人の宮仕え時期が重なっていないこと、紫式部の日記における清少納言への評価などから、二人が親密な関係にあったとは考えにくいです。
直接的な交流はなかったとされます。
しかし、互いに優れた作品を生み出した二人は、無意識のうちにライバル意識を持っていた可能性はありますね。それは歴史の本などでよく言及されているとおりです。
宮仕えの時期が違っていたとはいえ、同時期に歴史に残る文学作品を生み出した2人の女性ということもあり、大河ドラマをはじめとした作品においては二人の交流が描かれることは少なくありません。
これは、二人の作品が持つ普遍性や魅力、そして平安時代の華やかなイメージと相まって、視聴者に好まれる題材となっているためと考えらます。
紫式部と清少納言は、同時代の天才女流作家として互いに影響を与えながらも、親密な関係にあったとは考えにくい。二人の関係性は、後世の創作によって脚色され、ドラマティックに描かれている側面があると言えるでしょう。
しかし、史実とは異なるとしても、二人の友情を描いた作品は、現代においても多くの人の心を惹きつけています。それは、二人の作品が持つ普遍性や魅力、そして平安時代の華やかなイメージとが相まって、人々の想像力を掻き立て、共感を呼ぶ力を持っているからだと思います。
まひろ ききょう
とはいえ、そのような杓子定規な考察はつまらないので、もう少し大河ドラマ「光る君」に寄って考えてみましょうか。
この作品では先述したとおり、紫式部を「まひろ」、清少納言を「ききょう」という名前で呼ばれていますが、これは創作上の名前であり、実際の名は分かっていません。
創作ではあるにしても、それぞれの呼び名の由来を考えてみましょうか。
紫式部の本名は分かっていませんが、一説には藤原彰子の女房としての名前「藤原彰子」から「彰子(あきこ)」を短縮して「まひろ」と呼ばれていたという説があります。
清少納言も本名は分かっていませんが、清少納言の父である清原元輔(きよはらのもとすけ)の名前から「ききょう」と呼ばれているという説があります。
ドラマの中で、二人が本名ではなく創作名で呼ばれているのには、いくつかの理由が考えられます。
本名よりも覚えやすく、親しみやすい名前を使うことで、視聴者にキャラクターをより身近に感じてもらう狙いがあると考えられます。
また、それぞれの名前に込められたイメージや響きによって、キャラクター性をより明確に表現しようとしている可能性もあります。
それにプラスして、現代人には実感が湧きにくい平安時代の人物像を現代の視聴者にわかりやすく伝えるために、意図的に創作名を用いている可能性も考えられますね。
光る君 評判
では、大河ドラマ「光る君」の反響、評判、影響力についても書いていきましょう。
「光る君」の視聴率は、平均視聴率17.2%(ビデオリサーチ調べ)と、近年の中では健闘と言える数字を記録しています。特に、初回放送は21.2%の高視聴率をマークし、大きな注目を集めました。
放送開始当初から、Twitterを中心に活発な盛り上がりを見せています。
ハッシュタグ「#光る君」で関連ツイートを検索すると、ドラマの内容や感想、出演者への称賛など、様々な投稿が目に飛び込んできます。また、公式インスタグラムアカウントも開設されており、ドラマの裏話や場面写真などが公開され、ファンを楽しませています。
このドラマの前のドラマは松本潤が徳川家康を演じる『どうする家康』でしたが、この作品の荒唐無稽な時代考証に比べれば、『光る君』は、時代考証に非常に力を入れていることでも評価されています。
衣装や髪型、建物など、平安時代の様子を忠実に再現しており、視聴者から「まるでタイムスリップしたようだ」という声も聞かれます。また、セリフも当時の言葉遣いを参考にされており、リアリティを感じさせる仕上がりとなっています。
さらに、従来の大河ドラマとは異なり、本作では紫式部を主人公に据え、女性目線で平安時代を描いています。
これは、これまであまり描かれなかった視点であり、多くの視聴者から新鮮な作品として受け入れられています。
また、清少納言や藤原道長など、紫式部を取り巻く人物たちも魅力的に描かれており、人間ドラマとしても見応えがあるという声も少なくありません。
「光る君」は、高い視聴率とSNSでの盛り上がり、時代考証への称賛など、様々な点で好評を博している大河ドラマです。
実際には交流がなかった可能性が大であった清少納言と紫式部の交流も描かれている点も、平安文学ファンの琴線をくすぐるのではないでしょうか。