女子医科大学 合格実績
女子医科大学は、私立医学部の中でも学費が高額であるにもかかわらず、根強い人気がある。
この女子医に特化して合格実績を出しているのが、医学部専門予備校メルリックスである。
2024年度には、同校から女子医に20人が合格したという(一説では23人)。
2023年度は28人だったが、この数には一般公募推薦、指定校推薦、「至誠と愛」推薦を含む。つまり、すべてが一般入試による合格ではない。
「至誠と愛」推薦は個人面接のみで選考されるため、面接対策に強いことが合格者数に影響している可能性がある。メルリックスのウェブサイトには「女子医と言えばメルリックス」との文言もあり、女子医対策に力を入れている様子がうかがえる。
同予備校は、毎年12月に京王プラザホテルで女子医対策合宿を実施している。女子医における合格対策を年末時点から徹底して行っていることは、こうした取り組みからも読み取れる。
また、『Route Map Magazine』というウェブマガジンによると、メルリックスには、かつて存在した予備校「ニチガク(日本学力振興会)」の元塾長が最高顧問として在籍しており、小論文や面接指導にも関与しているようだ。
メルリックスという予備校の特徴は、スタッフや関係者を実際に大学入試に出願・受験させ、持ち帰った問題をもとに即座に解答速報を作成、配信しているところだろう。
もっとも、東京女子医科大学の入試問題は原則として持ち帰り不可である。そうなると、メルリックスが女子医に強い理由は、出題された問題の分析では説明がつかない。これ以外のノウハウや、別の強みがあるのだろう。
女史医科大 不祥事
こうした受験対策面での注目度の高さとは裏腹に、東京女子医科大学をめぐっては、近年いくつかの不祥事も報じられている。
主なものとしては、元理事長による背任事件、医療事故の隠蔽、同窓会組織をめぐる不正などが挙げられる。
たとえば、元理事長・岩本絹子氏は大学の施設建設をめぐって、アドバイザーの1級建築士に不正な報酬を支払わせ、大学に総額2億8千万円近い損害を与えたとされ、背任容疑で逮捕・再逮捕されている。また、その一部が還流していた可能性も報道されている。
さらに、2001年には人工心肺装置の操作ミスによって患者が死亡する医療事故が発生。装置を扱った助手と、事故の隠蔽に関与した講師が逮捕・起訴された。助手は無罪となったが、講師には有罪判決が下された。
加えて、同窓会組織「至誠会」では経理をめぐる不正が指摘され、推薦入試において寄付額が人事評価に影響していた疑いも報じられている。これらの問題も影響し、2024年度には大学への補助金が全額交付されない判断がなされた。
このように大学運営や附属病院、関連組織をめぐって複数の問題が表面化しているにもかかわらず、受験生の間での女子医科大学の人気は依然として高いままである。
理由としては、医学部としての伝統や歴史、女子に特化した環境の希少性、そして推薦入試の門戸の広さや対策のしやすさなどが挙げられるだろう。
医学部生 留年
なお、女子医科大学の学生については、「すべてがそう」というわけではないが、いわゆるキラキラ系とされる女子学生が一定数在籍していると言われている。
彼女たちの一部は高田馬場周辺の特定の飲食店に通っており、そこにはパイロットや弁護士などの高所得男性が出入りしているという。男性側が奢る形での交流があり、将来のパートナー探しに熱心な学生も少なくない。
そうした夜遊びや男女交遊が学業に影響し、留年してしまうケースもある。
そして女子医の留年に対する対応は早く厳しい傾向がある。
夏の時点で学業成績に問題がある学生には保護者を呼び出し、留年の可能性を伝える。たとえ保護者が地方在住であっても例外ではない。9月以降は、学内への立ち入りを禁じるという措置も取られる。
通達を受けた学生は、実家に戻って翌年の再履修に備えるか、東京で一人暮らしを続けながら勉強するという選択を迫られる。
中には、娘が地元に「出戻」ったことが近所に知られるのを避けるため、親が娘を東京に住まわせたままにしているケースもあるという。留年後の選択には家庭の事情も色濃く影響している。
女史医 推薦入試
「至誠と愛」推薦入試は、これまで東京女子医科大学の同窓組織「至誠会」の会員または準会員が3親等以内にいることが出願条件であった。評定平均値は4.1以上。出願期間は毎年11月1日から10日まで。選考内容は、文章やデータをもとに思考力を問う試験、小論文、面接となっている。
2025年度からはこの推薦入試の名称が「卒業生子女推薦」に変更される。
出願資格は、東京女子医科大学医学部の卒業生が3親等以内にいること。入試内容に小グループ討論が追加される可能性があり、浪人生は原則1浪までに限られる。なお、2023年度の「至誠と愛」推薦の倍率は1.4倍であった(医学部予備校ガイド調べ)。
変革期を迎える東京女子医科大学が、これらの課題を乗り越え、真に学生と社会から信頼される医学教育機関として発展していくのか、今後の動向を注視する必要がある。